薄暗く静謐な空間に、
黙々と作業する熟練した職人。
その無駄のない正確な動きに、
この地で紡がれた
シルクと技の数えきれない年月を想う。
株式会社行方織物の工場内で目にする、大掛かりな設備と長年培われた経験と技術。「縦糸整経」はその名の通り「縦糸を整える作業」。織機での織りやすさを左右する大切な工程だが、これを自社で行える工場は少ない。また、白い生地を織るには織機を常にクリーンに保ち続ける必要がある。先染めの産地である米沢で今それができるのは行方織物だけなのだとか。SaboraMiのドレスは、ここで織られたサテンバックシャンタンを使用している。精錬工程を糸の段階で行う“先練り”という手法により、パリッとした清廉なハリ感が魅力だ。
手間暇かかるシルクを取り扱う工場は、米沢でも年々減少しているそう。シルクは生きもの。髪の毛と一緒でキューティクルがあり、梅雨時期には湿気で糸が伸び、冬は乾燥でパサつきすぐに切れる。ちょうどいい湿度を保つことが重要なのだとか。
ギュッと目が詰まった生地に仕上がるのが特長のドビー織機。紋紙を少しずつ読み取って送り、生地が織られていく。糸に少しでも節やワタがついていると、織機が止まってしまうため、必ず人の手が必要。純白のウエディングドレスには一切のゴミも混ざらないよう、特に細心の注意を払っているそうだ。