Yonezawa

米沢

繊維産地としては日本最北の地、米沢。江戸時代、第9代米沢藩主・上杉鷹山が、当時苦しい経済状況にあった藩の財政を立て直すため、武士の婦女子らに織物を習得させたことに発祥する。先進地だった新潟県の小千代から技術者を招き、「縮歩ちぢみふ」の生産に成功。その後養蚕業を基礎とした絹織物製造に移行し、現在に至るまで出羽の米沢織として全国に名声を馳せる。

薄暗く静謐な空間に、
黙々と作業する熟練した職人。
その無駄のない正確な動きに、
この地で紡がれた
シルクと技の数えきれない年月を想う。

株式会社行方織物の工場内で目にする、大掛かりな設備と長年培われた経験と技術。「縦糸整経たていとせいけい」はその名の通り「縦糸を整える作業」。織機での織りやすさを左右する大切な工程だが、これを自社で行える工場は少ない。また、白い生地を織るには織機を常にクリーンに保ち続ける必要がある。先染めの産地である米沢で今それができるのは行方織物だけなのだとか。SaboraMiのドレスは、ここで織られたサテンバックシャンタンを使用している。精錬工程を糸の段階で行う“先練り”という手法により、パリッとした清廉なハリ感が魅力だ。

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精錬した糸をカセ(=一定数巻き取って輪型に結束した糸)から糸繰り機で枠に巻き取っているところ。巻き取った糸は絡まってしまわぬよう、糸巻きの足を石に埋めている。

手間暇かかるシルクを取り扱う工場は、米沢でも年々減少しているそう。シルクは生きもの。髪の毛と一緒でキューティクルがあり、梅雨時期には湿気で糸が伸び、冬は乾燥でパサつきすぐに切れる。ちょうどいい湿度を保つことが重要なのだとか。

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上の写真が生地を織るための型紙、紋紙もんし。そばには必ず職人が立ち、織機が止まると丁寧に除去物を取り除いている。

ギュッと目が詰まった生地に仕上がるのが特長のドビー織機。紋紙もんしを少しずつ読み取って送り、生地が織られていく。糸に少しでも節やワタがついていると、織機が止まってしまうため、必ず人の手が必要。純白のウエディングドレスには一切のゴミも混ざらないよう、特に細心の注意を払っているそうだ。 

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